ローコードソフトウェア活用状況の国際調査結果を発表 ~限定的な緊急時対策から、コロナ禍を経てコアテクノロジーへと進化したことが明らかに

※本プレスリリースはMendix, a Siemens businessが昨秋発表したリリースの翻訳に一部日本向け情報を付加したものです。

Mendix、ローコードソフトウェア活用状況の国際調査結果を発表
~限定的な緊急時対策から、コロナ禍を経てコアテクノロジーへと進化したことが明らかに

世界のビジネスリーダーは、2024年までにローコードが従来のコーディングを超えると予測

  • 「Mendix 2022 State of Low-Code in Key Verticals (主要業界におけるローコード活用の現状 2022年版)」によれば、金融サービス、保険、小売、公共セクター、製造等の産業領域でローコードの採用が、2021年の77%から94%に増加
  • 69%が、緊急時対応のため限定的に採用されていたローコードが、既にコアテクノロジーに進化したと回答
  • ローコード活用等へのテクノロジー移行がなければ、コロナ禍で企業破綻していたと推測する企業が9社に1社
  • 40%近くが、ミッションクリティカル・ソリューションの開発にローコードを活用していると回答

 

シーメンスの傘下で、最先端エンタープライズアプリケーション開発のグローバルリーダーであるMendix(本社:オランダ ロッテルダム/CEO:ティム・スロック)は、主要業界におけるローコード活用の現状2022年版 「2022 State of Low-Code in Key Verticals」を発表しました。この資料では、2024年までに大半の企業が従来のコーディングより
ローコードを活用するようになると報告しています。Gartnerも、エンタープライズアプリケーション開発へのローコードまたはノーコードテクノロジーの活用は、2020年の25%未満から2025年には70%にまで拡大すると予測していました。

実際、調査資料では緊急時対策として採用されていたローコードがコロナ禍でコアテクノロジーに進化したことを、回答した企業の69%が証言しています。また、調査対象となった企業のほぼすべて(94%)はローコードを既に利用しており、その比率は2021年時の77%から増加しています。

本調査は、Mendixの委託により調査会社のReputation Leaders社が実施したもので、米、英、仏、独、オランダの銀行、金融サービス、保険、公共セクター、製造、小売業界のビジネスリーダーたちの経験や観察の結果とそれに基づく見解を反映しています。調査は、2022年6月8日から6月20日にかけて実施されました。

MendixのCEOであるティム・スロック(Tim Srock)は次のように述べています。「この2年間にビジネスは根本的に変わりました。まず、オペレーションのデジタル化は必須でありつつも、さまざまな方法、タッチポイントで顧客や従業員との接点を維持し続けることが欠かせなくなりました。そのためテクノロジーは一層複雑化し、求められるビジネススピードは上がりました。一方、ビジネスから価値を引き出すことも最近急速に容易になってきましたが、これを有効に活用するにはローコードによる迅速な対応が必要です」

トレンドの概要

今日、企業はデジタルトランスフォーメーションの基盤にローコードを活用しています。このテクノロジーの採用は戦略性が高く、現在では、CEO、CIO、最高デジタル責任者などが意思決定するのが一般的です。回答者の70%が、ローコードは自社ビジネスの一部であると考え、9人に1人は、自社がコロナ禍で技術的な変革に成功していなければ、顧客の喪失、風評被害、値上がり、喪失収益、従業員の離職などで会社は破綻していただろうと回答しています。

コロナ禍でローコード活用を拡大した企業はいずれも、マクロ経済状況や顧客嗜好の変化に応じて、柔軟に対応を変化させ続けています。2021年の調査では、ローコードの採用目的はコラボレーション、コスト削減、即応性のために利用されていましたが、2022年の調査では、これに加えて、顧客のポータル、生産性アプリ、エンタープライズグレード・ソフトウェアの開発でのローコード活用が広がっています。そこでの目標は、ビジネスの俊敏性を高め、技術の活用を容易にしながら、堅牢で安全なアプリケーションを構築することです。10社中4社は、ミッションクリティカルなアプリケーションにローコードを利用しています。

Mendixの産業クラウド部門責任者であるロン・ウェルマン(Ron Wellman)は次のように述べています。「業界を問わず、多くの大手企業がローコードの活用を拡大し、より高質なデジタルエクスペリエンスを提供しながら、バックエンドの自動化を進め、ビジネス全体の俊敏性を高めようとしています。こうした企業は、急速な変化、業務部門とIT部門のコラボレーション、レガシーの更新、顧客と従業員の期待の変化にも対応できるよう、ローコードプラットフォームを活用しています。Mendixは、顧客により早く価値を提供するため、業界を代表するSIパートナーやISVソリューションベンダーとともに、主要産業それぞれに対してエコシステムの構築を進めており、Mendixマーケットプレイスにも、カスタマイズ可能なテンプレートやコネクターなどから、保険の契約書策定、銀行の法人契約開始手続き、小売業でのシフトスワップなど、さまざまな自動化ソリューションを順次投入し続けています。」

 

産業別特徴

■製造業では、ローコードが製造の脇役から主役に成長

コロナ禍にあった製造業は、周辺デバイスとの接続、ロジスティクスや品質評価のサポートにローコードを活用しました。現在、ローコードのニーズとして最も認識されているのは、IT(50%)、製造(43%)、設計、品質管理です。ローコードは、複数のドメイン、分野、地域にまたがるコラボレーションの改善や、輸送とサプライヤーの接続およびアクセスにも活用されて(64%)います。そこでの第一の目的は、ローコードを使ったITとOTを橋渡しです。

ある企業は、品質管理や製造に関わる既存のレガシーシステムを置き換えるために活用し、別の企業はサプライチェーンの問題を軽減するために活用しています。そして、回答者の3分の1近くは、自社のレガシーシステムに不満があると答えています。だからこそ、39%はローコードが既存システムとうまく連携できるという確証を求めています。移動、物流、サプライチェーンの課題解消にローコードを適用するという企業も63%ありました。

製造業に限れば、ローコード活用にメリットを見出す分野の上位2分野は、リアルタイムプロセスの可視化(39%)と、リアルタイムデータの可視化(38%)です。言うまでもなく、データ統合はこれらの推進に重要な役割を果たします。具体的には、外部とのエンジニアリングデータの共有、入札手順の効率化、モバイルやワークフローアプリケーション作成等への適用がその例です。一方で、製造業の課題となっているのは、レガシーITの先進化と製造のモニタリングの2つの分野で、いずれも32%でした。

現在、製造の現場で多く活用されているユースケース上位3例は、ピアツーピアの情報共有アプリ、現場デバイスとの接続、既存のソフトウェア製品との接続です。回答者は、これらに加えて製造業に特化したより多くのアプリテンプレートを求めています。それらの例は、外出先からレガシーシステムにアクセスする機能や、ローコードが持つAI機能をIoTと連動させて、より高度なスマート製造を実現する機能です。

 

■金融、銀行、保険業界は見積り自動化、プロセス合理化を推進

コロナ禍以前から、フィンテック、インシュアテックという新しい波によって改革に迫られていた金融業では、2020年には、既存顧客維持のために、デジタルファーストを進めざるを得ませんでした。ローコードは、それを短期間で実現させてくれました。現在ローコードは、社内の効率化のために、またより良いカスタマーエクスペリエンスの提供のために、あらゆるところで改革を進める力となっています。

金融業界での上位3つの活用分野は、見積りの自動化(60%)、購買プロセスの標準化と簡略化(55%)、カスタマーサービスの向上(50%)です。もちろん、データ統合の効果を認める声も多く、回答者の約3分の2が社内の効率化やカスタマーエクスペリエンスの向上に役立っていると回答しています。

そして2022年、金融、銀行、保険業界は、安全でコスト効率の高いアプリケーションの構築とソフトウェア開発のさらなるスピードアップのためにローコードを活用しています。

 

■公共セクターは、プロセス効率化とサイバーセキュリティを優先

社会全般でデジタル化が急速に進行する中、公共セクターではいまだにスプレッドシート活用に追われています。連邦政府、州政府、地方自治体のすべてで、大量のスプレッドシートが利用されています。古くなって、メンテナンスが難しく、バージョン管理もできていないために情報の管理も不十分です。

コロナ禍での行政機関は、主にロックダウンでの制限に対応する革新的なソリューションを作成するためにローコードを活用しました。そして約4分の1がローコードを導入し、約半数は採用を開始、または活用の途上です。

公共セクターからの回答者の半数は、ローコードの活用分野に、市民ID認証の改善、一元化、標準化、サービスへのアクセスの改善、予算計画、リソース計画の管理と改善を挙げています。

約10人に3人は、ローコードは増え続けるデータへの対応に役立ち、従来のソフトウェア開発よりもデータやプロセスとの統合が改善されるだろうと回答しています。サイバーセキュリティは最重要視されており、ローコードによってセキュリティ問題が削減されることに期待すると30%が回答しています。

 

■小売業界はカスタマーエクスペリエンス、データ活用、社内効率の向上要求が活発

コロナ禍において、小売業でもデジタル化は急速に進められました。置き配などの新しい配送モデルも取り入れられました。現在は、バラバラな価格設定、聞くたびに答えの違う問合せ対応などの改善を目指し、チャネル間で一貫した顧客エクスペリエンスを提供する「ユニファイドコマース」に取り組んでいます。

小売事業者は、ローコードでこれらの問題に正面から臨んでいます。ローコード活用の上位3つの分野として10人のうち4人以上が挙げたのは、組織間のコラボレーション向上、カスタマーサービス、顧客データの同期でした。3分の1以上(36%)は、ローコードはすでにハイブリッドリテールの導入に役立っていると回答し、32%は、ローコードはデジタルショッピングのピックアップに役立っていると回答しましたが、53%がサプライヤー統合の改善に期待すると回答しています。

小売事業者は、カスタマーサービスを最優先に考えますが、顧客の不満を解消しながら利益を確保するためには、卸業者や製造元とデータを共有し、正確なリアルタイムの在庫管理を実現する必要があります。

Mendixの小売業界プリンシパルであるエリカ・アリーナ(Erika Arena)は次のように述べています。「企業は、先進化への取り組みがどの段階にあるかに関わりなく、市場の需要に応え、自社独自の新しいデジタルソリューションを素早く実現していくことで差別化を図ります。各社は、ローコードの活用を進めてプロセスをデジタル化し、パートナー、ベンダー、サードパーティ・ソリューションプロバイダーのエコシステム全体のコラボレーションを強化することで、可視性を高め、実用的なインサイトを獲得しようとしています。特に店舗での顧客対応を重視する事業者の場合、これらは優れたカスタマーサービスとエクスペリエンス提供の鍵となります。新しいアプリケーション開発プラットフォームは、会社全体のソリューションを拡張し、接続性を高めます。組織横断的に統一されたエクスペリエンスは、その上に築かれるのです」

日本語版追記

本調査をもとに、Mendixでは、日本の製造、金融、小売の各業界向けに、各業界のトレンドや課題、今後どのようにそれぞれの業界特性に最適化したDXを進めていくべきかの指針を提示するオンライン常時開催のWebnarを公開しました(各業界約20分のプログラム)。以下URLよりご視聴ください。

<シーメンスによる産業別ローコード利用動向調査ウェビナー>

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Mendixについて
デジタルファーストの世界では、顧客ニーズは予測され、ツールは業務効率を大きく高め、エンタープライズはデジタルトランスフォーメーション実行しないと生き残れないと信じられています。 そんな世界に向かうエンタープライズにとって、シーメンスの事業部門、Mendixは、改革を進めるエンジンになろうとしています。その先進のローコードプラットフォームと幅広いエコシステムは、最先端のテクノロジーを相互に結び付け、エンゲージメントの向上、業務の合理化、ITの効率化を実現するソリューションをサポートします。Mendixは、抽象化、自動化、クラウド、コラボレーションの4つの柱で、開発者の生産性を劇的に向上させます。Mendixのコラボレーション機能と直感的なビジュアルインターフェイスは、技術者ではない「市民」が開発者となって、それぞれの得意領域の知識からアプリケーションを作成できるようにします。Mendixのプラットフォームは、クラウドネイティブであり、オープンで拡張性が高く、アジャイルで実績も豊富です。アナリストからもリーダーとして、また時代を先取りするビジョナリーとして評価されています。人工知能、拡張現実、インテリジェントオートメーション、ネイティブモバイルなどを支える、Mendixはデジタルファースト・エンタープライズのバックボーンです。Mendixエンタープライズ・ローコードプラットフォームは、全世界で4,000以上の企業に採用されており、30万人以上の開発者からなる活発なコミュニティが形成され、すでに20万以上のアプリケーションを実現させています。

本件に関するお問合わせ先

シーメンス株式会社シニアマーケティングマネージャー 東田
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