地方自治体が予算削減に対応し、サービスを向上させるためにローコードを活用した方法をご覧ください。

2010年に英国中央政府が緊縮財政を導入して以来、ノーズリー地方自治体では中央政府からの資金が大幅に削減され、それに伴い、特に法定外サービスにおいてサービス提供への影響が見られます。ノーズリー州は、中央政府の資金削減により、英国で最も大きな打撃を受けた地方自治体の一つであり、サービスの停止や削減、またそれらのサービス提供方法について検討せざるを得ない状況にあります。ITサービスでは、カスタマーサービスと連携し、ローコード技術やコミュニティ・エンゲージメントを活用することで、住民が重要とし、必要としているサービスを確実に提供できるようにしました。

考え方の転換

ノーズリー地方議会は、148,000人の住民と3,900の企業に対し、160以上のサービスを提供しています。そのサービスは、公園や高速道路の管理から、公衆衛生や福祉プログラムの提供、大人と子どものソーシャルケアサービスまで、多岐にわたります。緊縮財政により、ノーズリー地方議会は、大幅な資金削減 (2010年以降の予算から1億ポンドの削減) を管理するためにすべてのサービスを見直すように命じられました。ノーズリー地方議会lのカスタマーサービス責任者であるPhil Aspinall氏によると、彼と彼のチームが提供するサービスと、それらを提供する方法にサービスの見直しは大きな影響を与えます。評議会は、地方自治体と住民を結びつける計画を考案しました。「私たちは、Knowsley Better Togetherと呼ばれる自治区内のプログラムを開発しました。プログラムの趣旨は、地方議会、私たちのパートナー、企業、そして住民自身が互いに協力し合うことを確実にすることです。リソース、スキル、専門知識を蓄積することで、より多くのことを達成できます」とAspinall氏は述べています。「住民がより自給自足できるよう支援することが重要であり、私たちのプログラムは弱い立場にある住民と、住民が必要とする主要なサービスに私たちの資源とお金を集中させることを可能にします」とAspinall氏。これらのサービスの提供は、Aspinall氏の重点分野でした。Aspinall氏のチームは、ピーク時には月に約4,500から5,000件の対面でのサービス依頼を処理していました。電話での問い合わせはもっと多く、月に18,000件の割合でした。これらのタイプのリクエストは、トランザクションの98%を占めています。残りの2%はオンラインでした。サービス提供方法のコストは、Aspinall氏にとって驚くべきものでした。対面で、対話ごとに9ポンドのコストがかかりました。電話、1件あたり4ポンド、またはオンラインで、0.17ポンドの費用がかかります。Aspinall氏は、彼が「チャネルシフト」と呼んだ、重要な常駐サービスを削減する方法は、効率的かつ効果的にサービスを提供できるであろうと判断しました。Aspinall氏は、価値のあるサービスを維持できるようにすることを目的として、3年間で30万ポンド節約するという目標を設定しました。つまり、2020年までに、トランザクションの75%をオンラインにする必要がありました。彼は、オンラインエクスペリエンスを改善し、この野心的な目標を達成するために、ノーズリー地方議会のITサービスを利用しました。

「やればできる」という姿勢

チャネルシフトは、理論的には優れていますが、ノーズリー地方議会のIT部門責任者であるAndy Garden氏、ITプロダクションマネージャーのJohn Fairclough氏、IT利用マネージャーのMark Perry氏にとって実行が困難であることが判明しました。市販のソフトウェアにはかなりのライセンスとカスタマイズのコストがかかるため、開発を社内で維持することが決定されました。「ITサービスとして提供するのは、何よりも「やればできる」という姿勢。私たちは、ソリューションを見出したいと考え、限界に挑戦しています」とGarden氏は述べています。以前、IT部門が開発プロジェクトを開始したとき、前途多難でした。内部的には、ノーズリー地方議会のビジネス側がITプロジェクトを要求し、2つの部門が要件に関して鶏が先か卵が先かという状況に陥ります。Fairclough氏は次のように述べています。「2か月の開発で始まったものが4か月になる可能性がある」不明確な要件に加えて、ITサービスは事業運営費としての人員を削減し、開発に資本的支出として出資された、卒業生の有期雇用を使用するプログラムを開始しました。これにより、所有権のないレガシーコードが作成されました。その上、120台のITシステムが使用されており、引き続きサポートが必要であり、新しいシステムの開発がさらに妨げられていました。ほとんどのトランザクションサービスをオンラインに移行するには、IT部門はこれら多くのシステムを統合し、ユーザーに単一のプラットフォームを提供する必要があります。このアプローチは、開発チームが大幅に増加する従来の開発手法とツールを使用するとコストがかかることがわかり、開発時間枠の面で間接費が発生します。Garden氏は、ノーズリー地方議会が住民にサービスを提供し続けることができるものを必要としていました。「開発チームとサポートチームを増やすという観点からリソースを増やすか、それとも別の方法を検討するかを決定する必要がありました」とGarden氏は述べています。「それが私たちがローコードに目を向けた理由です」

加速された進展のペース

2016年、ローコード・プラットフォーム・プロバイダーの分野を調査した後、ノーズリー地方議会はMendixを選択しました。「コードを非常にすばやく生成できるだけでなく、標準レベルでも生成できるものが必要でした。これにより、サポートプロセスを簡単に進めることができます」とGarden氏は述べています。Fairclough氏とPerry氏は、ローコード開発のスピードに感銘を受け、「まったく新しい状態から、アプリケーションを開発して公開できるようになるまでのプラットフォームの移行速度は、驚くほど速いことがわかりました。」と述べています。開発者は訓練を受け、始めようと熱望しており、Garden氏、Fairclough氏、Perry氏、Aspinall氏は、Knowsley Better Togetherの使命を実現するアプリケーションの作成に目を向けました。早期に価値を提供するために、最初に大量のトランザクションに取り組むことが決定されました。そのため、Mendixを使用して複雑な収益および利益サービスをオンラインにする作業が開始されました。以前の審査とスキャニングのプロセスでは、ノーズリーの住民が手当の申請や修正をする際に煩雑な作業になっていました。このやり取りが通常発生する地方議会のワンストップショップでは、アドバイザーと対面でドキュメントをスキャンするため、最大30分かかる場合があります。新しいスキャンシステムを開発するために、チームはMendixをレガシーWebサービスに統合しました。Fairclough氏は次のように説明しています。「私たちは多くの独自の.NET APIに統合し、それらはすぐに統合されました。統合のプロセスに関しては、シームレスでした」とFairclough氏。ITチームとカスタマーサービスチームは、顧客サービスアプリケーションを作成しました。これは、住民が24時間年中無休でさまざまなサービスを利用できるオンライン・ワンストップショップです。「そのアプリケーションは本当に広い範囲をカバーします」とPerry氏は述べています。「それは、非常に複雑な税収や手当の問い合わせから、単に害虫駆除の訪問またはゴミ箱の交換を要求することまで、範囲が及ぶ可能性があります」ととPerry氏。プロセスを改善するために、ITサービス部門は地域住民がセルフサービスで使用できるように、ワンストップショップにAndroidタブレットを設置しました。彼らは、地域住民が数分以内に自分でスキャンを実行できるスキャンステーション・タブレットを導入しました。また、住民の新しいプロセスへの移行を支援するために訓練されたデジタルチャンピオンの資格を持つ議会職員も、支援を必要とする人のために待機しています。「他人の目を気にしながら列に並んで順番を待つ必要がなくなるように、人々を再教育するという点での変革でした。しかし、地域住民自らそれを行うという事に気づき、自宅から行うことができます。導入された機能は現在、自宅だけでなくオフィスでも実行できます」とFairclough氏は述べています。ITチームが使用した主要なツールは、Mendixコラボレーションポータルでした。これにより、Garden氏、Fairclough氏、Perry氏は、Aspinall氏のチームを開発プロセスにより深く関与させ、フィードバックサイクルをスピードアップおよび改善することができました。ITは、カスタマーサービス・チームへの架け橋として機能し、管理体制のもと顧客と緊密に連携し、顧客から直接フィードバックを得ることができました。「コラボレーション・ツールを使用するということは、ビジネスと定期的に連絡を取り合うことを意味します」とFairclough氏は述べています。Aspinall氏にとって、Mendixを採用する前の開発プロセスは不明確で非効率的でした。「進展のペースは十分に速くありませんでしたが、Mendix製品を購入してからここ数年で、ITチームはオンライン・ソリューションをより早く開発できるようになりました」とAspinall氏は述べています。「それはまさに天の助けでした」

希望を持つ理由

ローコード・プラットフォーム移行が始まったとき、最低の時点で、1か月にオンラインでのサービス・トランザクション数はわずか779件でした。2019年4月、オンラインでのトランザクション数は月平均約11,000件に達しました。オンラインで完了したトランザクションの割り合いは、2%から50%に跳ね上がりました。そうオンラインへ移行することで、ノーズリー地方議会は3年足らずで地域住民とのやりとりあたりのコストを半分以上削減しました。Aspinall氏は2020年の目標について大きな確信を持って話しています。「3年前に同じ質問をしていて、それらの目標を設定したとしたら、実際にどれほど挑戦的なものになるかを考慮して、私はおそらく少し消極的だったと思います。しかし、過去2年間に達成したことを、驚くべきス進展と開発の速さで達成したことで、2020年までに75%のオンライン目標を達成できると確信しています」とAspinall氏。もちろん、Garden氏と彼のチームが新しいサービスを提供していなければ、これはすべて不可能でした。「Mendixに移行するということは、開発と持続的なサポートがより簡単になり、より多くの人々が開発できるようになることを意味しました。「収益費用で多くの人雇う必要はありませんでした」とGarden氏は述べています。Garden氏は、ローコード開発の使用を開始して以来、ITサービスにもたらされた数々の変革と、Knowsley Better Togetherがチームに与えた影響に気づきました。「ITのスタッフにとって、開発が非常に迅速に行われ、実際に彼らの労働の成果をすぐに見ることができるので、非常に有意義です」とGarden氏。Fairclough氏の場合、ローコードを使用することで、ノーズリーの住民の要望に集中できました。「ローコードに移行する際、『誰のためのものなのか、そして最終的な目標は何なのかを理解してほしい』と開発者に呼びかけることができます。そしてこれは大きな変化です」と彼は言っています。実現された内部利益は、ノーズリーの住民へ好影響を及ぼします。ノーズリー地方議会は、重要なサービスを保護しながら30万ポンドを節約するという目標を達成しました。カスタマーサービス・アプリケーションは、地方自治体が住民との関わりにおいて提供するサービスレベルを向上させました。緊縮財政の導入など、ほとんどの政治的意思決定では、これらの政策に直接影響を受ける人々そのものが見過ごされがちです。Knowsley Better Togetherによって、地方議会はその地域住民をないがしろにはしません。Garden氏にとって、この概念はプログラムの成功に不可欠でした。「私は、一般の人々がデジタルスキルを使用することで利益を得ることができるようにしたいという主旨を保持し続けます。地方議会においてのみデジタルスキルに対応するのではなく、彼らの日常生活においても」とGarden氏は述べています。ノーズリー地方議会の資源担当閣僚である参事会員Jayne Aston氏は、次のように述べています。「私は昨年からチャンネルシフトを提唱していますが、議会だけでなく、住民にも重要な利益をもたらしていることに満足しています。住民がオンラインで確実にできることについてのフィードバックを受け取りました。それらは、仕事に応募したり、家族や友人と連絡を取り合ったりできることで、個人的にもメリットがあるものです。これは、Knowsley Better Togetherが実際に機能している一例にすぎません。全員が、共通の目標を達成するために自分の役割を果たしています。今後数か月から数年にわたってオンラインでさらに多くのサービスが利用できるようになり、住民が好きな日時と場所で私たちのサービスにアクセスできるようになることを楽しみにしています。」