チューリッヒは DevOps を倍増し、混乱に対する補償を提供します

新しい顧客中心型のアプリケーションにより、コストを削減し<em>、新しい市場に参入することができました。

Highlights

  • 146年の歴史を持つ保険会社、Zurich保険は、顧客中心主義、簡素化、イノベーションという3つの戦略目標を実現するために、アジャイル開発とローコードを採用しました。
  • Zurich保険のDevOpsチームには、元ビジネスアナリストでビジネス要件には敏感なものの、従来のコーディングの専門知識をほとんど持たない開発者が一部在籍しています。
  • また、Zurich保険はローコードでソリューションを開発することで、アプリのポートフォリオから年間数百万ポンドのビジネス価値を実現しています。

世界的な保険会社であるZurich社は、最近、市場シェアを拡大し、自社の地位を強化しながら、デジタル・ディスラプションを管理するという複雑な状況に置かれていることに気づきました。英国で6,000人を超える社員を擁し、400万人以上の英国の顧客にサービスを提供している同社にとって、これは航空母艦を旋回させるのと同じぐらい難しいものでした。Zurich社は、ビジネスを前進させ、最終的には顧客を支援するソフトウェア・ソリューションを構築するために、より迅速に、より機敏に行動する必要がありました。そこで、イノベーション、単純化、顧客中心の3つの分野に焦点を当てたデジタル・トランスフォーメーション戦略を策定しました。

Zurich社は、この戦略の実行を支援するために、IT部門とDevOpsに目を向けました。DevOpsリードのBarrington Clarke氏が、この任務に進んで取り組みました。Clarke氏は、組織初のDevOpsチームを結成することを任され、1つの共通の情熱のもとに団結した社員とともにチームを結成しました。「私たちは改善することが好きなんです」とClarke氏は言います。「ビジネスや技術上の課題を解決することが好きなのです」。Clarke氏は、データ統合スペシャリストのJohn Quayle氏、ビジネス・エンジニアのLeonardo Scricca氏とJames Foster氏を含む、新しいチームを結成し、すぐに緊急課題の解決に着手しました。チームの目的は、テロ行為によって発生した損失から顧客を守るために、Zurich社のアプリケーションの効率性を高めることでした。テロ行為による損害や損失は、甚大な被害をもたらし、保険料も高額になる可能性があります。

リスクを軽減するため、Zurich社は、再保険会社のPool Re社と提携しています。Pool Re社は、テロ行為に対する補償を保険会社に提供することを唯一の目的としています。Pool Re社は、英国財務省が支援する官民パートナーシップ制度により、保険契約が抱えるリスクの相当部分を引き受けています。Zurich社の顧客にとって、テロ行為に対する補償は必要不可欠であることから、Zurich社とPool Re社の関係性は重要です。Zurich社のビジネスにとって、この領域は、総収入保険料で数百万ポンドに相当します。Zurich社の保険契約の約3分の2 (約2万件) を占め、数百万件の資産・不動産およびリスク全体において数万件の取引で構成されています。Pool Re社との関係を維持するには、Zurich社はPool Re社の引受マニュアルに準拠する必要があります。このマニュアルには、請求する保険料、保険料に適用できる割引と調整、いつどの形式でデータを送信する必要があるかなどが記載されています。

DevOpsチームの最初の業務は、テロ行為に対する引受プロセスを管理するレガシー・アプリケーションの実践的な知識を得ることでした。チームは、アプリのユーザーを理解するために、シニア・プロダクト・アンダーライターであるAlex Tong氏を招聘しました。そして、Zurich社のアンダーライターが使用するデータの整合性とユーザー・エクスペリエンスを向上させるために、レガシー・アプリケーションの最新化に着手しました。

リスクを評価する

700人近いアンダーライターが、保険料の計算や顧客データの取得に従来の保険契約管理アプリケーションを使用していました。このアプリケーションの更新については、業務および財務上の緊急のニーズがありました。アンダーライターはデータ入力に多くの時間を費やし、データの入力と再入力に数日分に匹敵する時間を費やしていました。保険契約証書を書き換える必要がある際、該当データの削除と書き換えに数時間をかけていました。効率的な保険契約の更新を模索するアンダーライターの回避策は、すでに正確性において課題をともなっていたシステムデータの整合性を脅かしました。システムは古い2002年のSQL Serverビルドで動作していたため、保守性において困難が生じました。

Clarke氏のDevOpsチームは、プロセス上の課題に対応し、データの入力、検証、整合性の強化を図る必要があると確信しました。四半期ごとにデータを送信すること、そして、そのデータが正確であることを、Pool Re社は要求しました。Zurich社がデータを提供できなかったり、誤ったデータをPool Re社に提供したりした場合、ビジネスを失う可能性がありました。「引受プロセスの補助的なシステムですが、とても重要なシステムです」とTong氏は主張します。「システムで問題が発生すれば、甚大な影響を及ぼします」。テロ行為による損害の補償は、Zurich社のビジネスとその顧客にとって不可欠なものです。Tong氏は、「『弊社は補償できない』と言う選択肢は、Zurich社にはありません」と言います。

DevOpsチームが乗り越えなければならないハードルは、アプリケーションの問題を解決することだけではありませんでした。また、文化的な側面でも変化を起こす必要がありました。このプロジェクトを立ち上げる前は、Zurich社のITチームは、主にウォーターフォール方式でアプリケーションを構築していました。これまでウォーターフォールはうまく機能していましたが、顧客志向のソフトウェアを迅速に構築するというZurich社の新しい戦略には合致していませんでした。アジャイル方式を導入し、IT部門間や部署間のコラボレーション、そしてユーザーとの連携を迅速かつ頻繁に行う必要がありました。

保険料や割引を適切に計算し、ほかのシステムと連携するためには、Zurich社のSalesforceインスタンス、AWS、Google Map、ローカルのSQL Serverのデータベース、その他のWebサービスやアプリケーション・プログラミング・インターフェース (API) に接続する必要がありました。これには、技術的な深い知識と多大なITリソースが必要でした。社内では、開発者不足の問題を抱えていました。

会社を変革しZurich社の戦略を実行するために、DevOpsチームは、調査を開始し、アジャイルの導入、領域の専門家からのフィードバックや要件の迅速な収集、サービスの統合などを容易にするローコード・プラットフォームを捜し出しました。そして、チームはMendixに注目しました。この評価作業で、Clarke氏は、継続的な統合とデリバリーを提供できるプラットフォームを探す一方で、そのような手法の運用、Zurich社のIT環境の解明、DevOpsチームの構築に関する専門知識も求めていました。Mendixは、Zurich社が必要とする技術を提供するだけでなく、チームが望むコンサルティング、サポート、対面でのエンゲージメントを提供し、ビジネスや契約上の心配もありませんでした。Zurich社は、顧客向けのアプリケーションや製品の開発を望んでいたため、市場や市場の変化、顧客の変化に対応する必要があったとClarke氏は言います。「それを顧客に提供するためのプラットフォームを探していたとき、Mendixが革新的なソリューションを提供してくれました」

調整する

Clarke氏とチームは、Mendixプラットフォームで自分たちが最も得意とする「問題の解決」を可能にするローコード開発プラットフォームを見出しました。レガシー・システムを交換し、テロ情報収集 (TDC) アプリケーションを構築しました。Clarke氏は、「新しいMendixアプリケーションを使用して、手作業で行っていた確認作業やデータの再入力をすべて自動化することができました」と言います。

手作業の引受プロセスを自動化することで、チームの作業時間を大幅に短縮しました。ユーザー・エクスペリエンスの向上こそが、TDCアプリケーションの最大の価値であるとTong氏は考えています。Mendixのフィードバック・ウィジェットを使うことで、Clarke氏とチームは、Tong氏にフィードバックを求め、収集し、簡単にTDCアプリケーションのワークフローとユーザー・インターフェース (UI) を確立することができました。このコラボレーションにより、回避策を排除し、情報を一元管理して正確なレポートを作成する新しいシステムを作り上げました。プロセスを変更し回避策を排除することで、アンダーライターの時間を数時間だけでなく数日分節約することができ、見積りやビジネスの構築により多くの時間を割けることができると、Tong氏は述べています。価値を創出するまでの時間が短縮されたのです。

チームは、Mendixプラットフォームのモバイル駆動型開発と高速な試作機能により、12週間でアプリを完成させました。このアプリをウォーターフォール方式で再構築していたら、Zurich社は1年以上直接的に効果を得ることはなかったでしょう。TDCアプリケーションは、会社の運用上および技術上の革新的な機能として、運用効率を高めています。Clarke氏は、1つのアプリで、1年あたり、Zurich社は最低でも5万ポンドから10万ポンドの運用コストを削減できると推定しています。「コストと時間を管理しながら、規律ある方法でアプリケーションを提供できています」とClarke氏は述べています。Clarke氏は、デジタル化と新しいプラットフォームにより、Zurich社が数百万ポンドに達する、大規模なビジネスの拡大を実現すると予想しています。

数字を超えて

Clarke氏のチームは、MendixがZurich社にもたらす無形の価値、そしてローコード開発とアジャイル方式が専門的レベルと個人的レベルの双方にもたらすメリットをすぐに認めることができました。James Foster氏にとっての大きな収穫は、MendixがFoster氏や同僚に自信を与えてくれたことでした。John Quayle氏は、内蔵のスプリント管理や統合されたフィードバック・ウィジェットなどの機能により、Mendixが提供する素晴らしいスピードを引き合いに出しました。Leonardo Scricca氏は、Mendixの内蔵コネクターと統合機能を使用することで創出される機会を評価しました。ハード・コーディングやプログラミングの基礎に集中することなく、チームは新しいスキルを習得し、より多くのビジネス上の問題を解決する機会を得ることができました。

製品ラインナップを拡充

Mendixにより、TDCアプリケーションの構築時間が短縮されたことで、新しいアプリケーションの開発、Zurich社のほかのシステムの改善、ビジネス上の問題の迅速な解決を行うための機会が創出されました。Zurich社のDevOpsチームは、Mendixのアジャイルなサポートツールを使用して、顧客向けのシステムを構築し、領域の専門家からフィードバックを収集して、以前よりもはるかに速く変更を行うことができました。Scricca氏はそれを身をもって知っています。「私たちが創出した主な価値は、効率性と変化をもたらす速さです」。

チームが作り上げた一連の文化的な変化は傑出しているとClarke氏は感じています。Mendixプラットフォームにより、Zurich社は保険業界でイノベーションを起こす企業になることができました。「アイデアが生まれてから2週間で実行可能な製品を開発し、顧客の前でデモンストレーションを行うことはほとんど不可能です。しかし私たちはそれが可能なのです」とClarke氏は言います。DevOpsチームは、ビジネス・ユニット間の壁を取り除き、業務担当者、アナリスト、開発者と緊密に連携して共通の目標に向かって取り組むことがでるようになりました。英国のZurich社のIT部門責任者であるDarren West氏にとって、Mendixの価値は、当初から明らかでした。「IT、ビジネス、そしてパートナー間の緊密なコラボレーションを通して、真のメリットが生まれることでした」。

Mendixを導入することで、Zurich社は、イノベーション、簡素化、そして顧客中心という戦略に忠実であり続けることができるようになりました。「Mendixで構築することにより、ビジネス・プロセスの加速化が実現しました」とClarke氏は言います。「また、次回に向けそれをよりよくする方法を学ぶ機会にも恵まれました。非常に短期間かつ低コストで、サポートと保守を行うビジネスにアプリケーションを提供できました。DevOpsチームにとって、これは紛れもない成功ですが、この広範囲にわたる指令においては、誰もがこの成功を認めるはずです」

未来を保証する

Zurich社によるアプリ開発方法の変革やアプリ・ポートフォリオの強化と構築は、はじまったばかりです。データ接続要件により、TDCは現在も社内に導入されています。しかし、Mendixはさまざまなデプロイ・オプションを提供しています。今後、Zurich社のチームは、社内に残っているアプリをMendix Cloudにデプロイし直し、環境を簡素化する予定です。

West氏は、Clarke氏の開拓チームがMendixツールの支援を得て行った重要な作業を評価しています。彼はこの上なく誇りに思っています。「共同コラボレーションでした。チームはリスクを背負うことを恐れていません。チームは新しいことに挑戦しました。これまで私たちが踏み込んだことのない領域に、チームは踏み込んだのです」